鎌倉新フルート合奏団:合奏団便りから
  エミリーベイノン公開レッスン

エミリーベイノン公開レッスン

                      鈴森武雄(1stFlute)

  11月17日コンセールルミエール主催のエミリーベイノンによるアンサンブルの公開レッスンに参加した。渡辺光先生から合奏団のメンバーで出てみませんかという話しがあり、試験台(出演者)の一人として参加する事になった。場所は吉野町市民プラザ。今回は中学生によるモーツアルトのアヴェヴェルムコルプス、ルミエールのモーツアルト フルート4重奏 ハ長調、及び当合奏団から近藤、松居、岸、鈴森によるポーボンのアヌーシュカの、3組3曲の公開レッスンであった。

   ひまわりの郷が出来た4年ほど前に、コンセルトヘボーソロイストによる記念演奏会を聞きに行ったが、エミリーベイノンはその一人として来日していた。彼女の演奏を聞いたとき、表現力と雰囲気ある演奏に感動した。曲目はベートーベンのセレナーデ、カルメン(ボルヌでなく)、アルルの女からメヌエットなどで、アルルの女のようにフルートで一番良く誰にでも知られている曲をすばらしい表現力で演奏していた。有名でないが良い演奏家を見つけたとうれしくなった。

   次に彼女の演奏を聞いたのは、2000年7月みなとみらい大ホールでの彼女のコンサートで、満員であった。この時はハープ伴奏でドビュッシーなどオールフランスものであった。この時もアルルの女が入っていた。ホールが大きかったせいか、音量不足を感じたもののフランスものの雰囲気は最高であった。この時の演奏に注目した人も多かったようで、今でもインターネットのホームページに幾つか感想が残されている(後記リンク参照下さい)。

   以上のように2回のコンサートで良い印象を受けていたので、直接レッスンを受けられるのを大いに期待していた。

   尚エミリーベイノンはイギリスのウェールズ生まれで、パユが優勝した次の神戸国際フルートコンクールで優勝、現在コンセルトヘボーオーケストラの主席奏者。CDも出ている。

事前練習
   公開レッスン出演の話しがあって本番まで1ヶ月しかなかったので、毎週集まって練習したが、本番当日の午前中に集まったのを含めて5回の練習を行った。

   第1回目の練習で曲目の選定を行ったが、残り一ヶ月であるのでテクニックの難しい曲は避けて、ポーボンのアヌーシュカに決定した。しかしテンポの変化がたくさんあり、きれいではあるが現代的で曲の表現は難しかった。2回練習したところで、急遽玉縄フェスティバルに出ることになり、これについては合奏団の皆さんお聞きの通りである。玉縄フェスティバルでは曲に慣れないうちであったので 入りミス、テンポ設定ミスなどがこわくて緊張していたが、一度本番を経たので公開レッスンには安心して出ることが出来、上がることも殆どなかった(それとも昼食のアルコールのせい?)。3回目の練習を渡辺光先生にも見て頂き万全をきした。

レッスンの状況
   レッスンは3時30分に始まり、各組45分程度のレッスンで、最後にエミリーベイノンによる短い演奏があった。終了は6時30分であった。

   中学生には基音、3度、5度の音程の取り方を指摘し、きれいな和音の作り方を丁寧に教えていた。またしっかりした音作りを指導し、長い音符のところは伴奏に回っているので弱く、短い音符はメロディーになっているのではっきりと演奏する様指摘していた(これは次の我々にも同じ指摘であった)。

   我々のアヌーシュカはまず一度通して演奏したあと、エミリーベイノンから、各自がメロディー、リズム、和音のうち、今どの役割を演奏しているか理解して演奏する様、ながーい話しがあった。特にスコアーを見て練習してそれを判断する様に言っていた。その上で和音パートはメロディーを引き出す様音量は小さく、またビブラートはかけないようにとの事であった。リズムはしっかりと刻み、メロディーはニュアンス、表情豊かにという指示であった。思いがけないところがメロディーでそこの4泊はしっかり出してなどの指示もあった。

   メロディーの付け方は、実に表情豊かであった。私がメロディーを吹く部分で、エミリーベイノンが楽譜に表情を書き入れて、実際に吹いてくれた。楽譜に指示してないクレッシェンド・デクレッシェンドを思いがけない方向に付けて、かつその音の幅が非常に大きかった。それがすごく音楽的で、こういう曲作りが全体に行き渡って、表現ある音楽になっていくのだと納得した。メロディーに沿って動くリズムの部分も、楽譜に指示はなかったが明確なクレッシェンド、デクレッシェンドを要求された。

   熱心なレッスンをしてくれて、45分はあっという間に経ってしまった。曲の途中で時間切れとなり、エミリーベイノンが時間が足りませんと言うくらいであった。

   最後に通して演奏する余裕もなかったが、指摘されて「途中の演奏でもずいぶんすっきりとしたいい演奏になっていた」、とは録音をしていた松居さんのコメントである。

   ルミエールのレッスンでは3拍子のメロディーの作り方、リズムの刻み方を特に教えていた。2拍めは弱く、出来れば短く、3拍めは次のつなぎの準備の拍であると強調して指導した。モーツアルトのリズムでそこまでやるのと驚きであったが、聞いてみると、その通りであった。

   最後にバッハ管弦楽組曲からポロネーズ、サラバンド、バディヌリーをルミエールの伴奏で演奏してくれた。この演奏が圧巻であった。バッハを表現力豊かに実にいきいきと演奏した。古楽の演奏スタイルが入ったもので、p、fやクレッシェンド、デクレシェンドの大きい、めりはりのよく利いた演奏であった。大ホールの時は音量不足を感じたが、今回はその誤解を改めさせられた。スタッカートのタンギングも破裂音系統のしっかりしたものであった。顔はかわいく背の高い美人であったが、立派な腰周りで、「あれでなきゃしっかりしたいい音で笛は吹けないわよね」とは、当合奏団某女性の言であった。いや合奏団の女性の音もしっかりしていると思うのですが……。

以下はインターネットでの情報です。 参考までに。

コンサート状況
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/stoshie/pahud/my/20000716.htm

コンサート状況
http://www5.ocn.ne.jp/~flyusuke/Baynon1.htm

CD情報 http://www.ne.jp/asahi/jurassic/page/talk/pahud/beynon.htm
ザ・フルート#46http://www.alsoj.com/flute/flute_back/flute046.html

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