鎌倉新フルート合奏団:合奏団便りから
  テレビの革命

テレビの革命

                        栗林 道夫(AltoFlute)

   昭和28年に始まったわが国のテレビジョン放送はそれまでのラジオに無かった新鮮な驚きを人々に与えた。昭和35年、これがカラー化された時も新鮮な驚きがあった。そしてテレビは今、次の驚きを我々に与えようとしている。そのきっかけは来年12月から始まる【BSデジタル放送】だが未だあまり知られていない。「BSデジタル放送を知っていますか」という世論調査が先月(11月)に行われた。「知っている」と答えた人は約15%、「知らない」と答えた人は約55%だった。

   日本ではこれまで横長のワイドテレビが1100万台以上売れた。これは家電七不思議の一つとされている。テレビ局では横と縦が4対3の標準画面で送っているのに、ワイドテレビはこれを無理に横に伸ばして上下もカットしていた。「丸顔のアナウンサーが多い」と思われたとしても不思議ではない。ワイド番組はほとんど無いのに、人の顔をワイドに映してしまうワイドテレビがこれだけ売れたのは不思議で、さすがに去年あたりから売れ行きが頭打ちになった。売る方も詐欺に近いが、買う方も少し利口になってきたからだ。

   ところが来年の【BSデジタル放送】からは、放送そのものがこれまでの標準画面から16対9のハイビジョン仕様をベースにしたワイド画面に切り替わる。これを受信できるのは今までのワイドテレビではだめで、これから開発される【デジタルテレビ】でなければならない。BSに続き地上波など、全てのテレビ放送がデジタル化される予定であり、そうなると全ての家庭のテレビは【デジタルテレビ】にしなければならなくなるのだ。手始めに来年9月のシドニーオリンピックではBSデジタル試験放送が予定されている。

   地上波によるテレビ放送のデジタル化も来年から関東など一部の地域で試験放送が始まる。合奏団メンバーにだけはこっそりと教えることにする。「今、急いでテレビを買うな」と。そんな金があればバスかアルトを買うのが正しい。合奏団には福永法源も麻原も居ないので「買ったら団に寄付せよ」とは言われないからご安心を。 テレビメーカはテレビが売れないと困るので、各社が最新型テレビを売り出している。T(タウ)、WEGA(ベガ)、「ザ・パノラマ」、「FACE」などをはじめ、どれも【デジタルテレビ】ではない。【デジタル放送】の開始に備えて「D端子付き」と称している。これらは【デジタル放送】になれば「DTVアダプター」を付けられるというもの。だが少し待てば【デジタルテレビ】が売り出されるのだ。【デジタル放送】は過去半世紀にわたって続いてきた現在のアナログ方式と全く違うので、追加する「DTVアダプター」では性能・機能が劣る上に値段も決して安くはならない見通しだ。

   【デジタル放送】なんて本当に始まるんだろうかという疑問はあるが、国は「やがて今のアナロク放送は中止」することを決めた。これにより放送だけでなく通信も含めて百年に一度と言われる社会革命に発展するとも言われる。新しい年にその胎動が始まる。


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