タイ報告.1 タイの7分割音階
平成20年9月5日
鈴森武雄 タイに1年半ほど滞在したので、タイの特殊な音階について報告する。普段タイのテレビで見かける音楽は西洋スタイルのポップスなどであり、ディスコが大好きな会社の人から私の知らない日本のバンドや歌手の名前まで飛び出して驚くこともある。タイ人は日本が大好きである。しかしタイの伝統的古典音楽は1オクターブを均等に7分割した音階だそうで西洋の12等分平均律とは全く異なった独特の音階である。伝統的なタイの各種民謡や踊りの音楽、ラーマキエン(インドのラーマーヤナが起源)のタイ舞踏、伝統的人形劇の伴奏音楽など、いずれも7分割音階である。インドネシアには5等分音階や9等分音階もあるとのことである。以前日本でも見られたタイ式ボクシングの初めに演奏されるボクサーの踊りの音楽も7等分音階ではなかろうか。 タイ楽器の合奏で中心になっているのが紐で連ねた木琴ラナート・エーク(写真参照)でタイ音楽の雰囲気を醸し出す中心楽器になっている。ちょっとたたいてみたが1オクターブに7本ならんでいる。しかしテレビでは西洋平均律の木琴が聞こえてくることもある。その他音階をもったメロディー打楽器コーン・ウォンレック(ドラ・ゴング写真参照)がある。雷さんがお腹の周りにたくさんの太鼓をぶら下げている絵があるがそのイメージで座って周りにおいて演奏する。タイでは横笛は見かけないがリードのある独特の縦笛があるし、日本の笙のような楽器もある。インドのシタールの影響を受けた楽器や、中国の二胡・揚琴もある。私が滞在した地方都市ラヨンのお祭りで見かけたタイの民族楽器による子供たちの演奏の写真などを添付する。 タイにはリコーダーに似た楽器(写真参照)がある。空気の吹き込み口が特殊で、音の出るナイフエッジが音孔の後ろ側にあるのが特徴的である。安い竹製のこの笛はよくお店で見かけるし、タイで良く演奏され、この楽器のCDも販売されている。購入したこの笛の写真を添付する。竹で出来た楽器としては写真を見て頂くしか説明できないが、揺らして鳴らす竹で出来た楽器があり、いろいろな大きさのものを組み合わせてアンサンブルも行われている。この楽器はインドネシアにもある。 インターネットで、タイの人には音痴が多いという記事をいくつか見かけたが7分割音階で育ったら12音階の歌は難しいであろう。7分割の合奏は音が濁って気が狂いそうかというとそんなことはない。これはこれで快適である。1オクターブを小さな整数で分割した音階は心地よく響くそうであるが、7等分分割もまた整数分割の一つであるからなのであろう。南国いやし系音楽として快適である。しかし7分割の和音はどうなっているのだろう。
タイ伝統楽器の子供たちのアンサンブル お祭りにて−1
タイ伝統楽器のアンサンブル−2
タイの踊り
リコーダーに似たタイの縦笛
竹を揺らして音を出す子供たちのアンサンブル
以上
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